研究者たちの情熱
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| リュウグウの砂に挑む チームで小惑星のサンプルを分析 伊藤元雄 くもん出版 カーリルへのリンク |
小惑星探査機「はやぶさ2」は2014年12月に小惑星リュウグウから砂を持って2020年12月に帰還しました。
この本は、リュウグウの砂を分析し、「生命のもとになる水や有機物は、どこから、どうやって地球に来たのだろう?」という命題に挑む研究者たちの実話です。
- リュウグウってどんな小惑星?
- 結局、生命のもとは見つかったの?
いう問いへの回答は本書へ譲るとして、
私は、研究者に憧れる多くの人に読んでもらいたいと思いました。
研究者という生き方を垣間見る
1章「宇宙科学のとびらを開く」、2章「アメリカがぼくを強くした」、3章「NASAのスターダストミッション」で語られるのは、面白いと思える現象との出会い、予算がないなかでの試行錯誤、英語の苦労、チャンスをつかみ取る力、迷い、そして世界情勢による制約。 ひとりの研究者の人生を辿ることができ、リアルな研究者像を感じられると思います。
また、4章以降のリュウグウの砂の分析をめぐる話のなかでは
チームを信じること
互いに配慮し合うこと
ディスカッションの大切さ
が語られています。
さらに、砂の運搬にあたって協力した機関への感謝も述べられています。
研究というと個人の能力に目が向きがちですが、多くの人との信頼関係の上に成り立っていることを改めて感じます。
本書は、令和8年度の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれています。
宇宙に興味があってもなくても、こういう生き方をしている大人がいる。
それを知るだけでも十分です。ぜひ読んでみてください。
私が知っている研究者たち
本書を読んでいると、地球化学の分野の研究に従事していたころに出会った、初期地球の研究者たちを思い出しました。
みなさん驚くほど情熱的で、宇宙や地球の歴史の謎を解き明かしたいという思いにあふれていました。
本文中にも出てくる技術ですが、物質の同位体比を調べると、その物質にどのような特徴があるのかを理解することができます。
研究者Y氏は、目に見えないような炭素のカケラを分析して、水と接触した痕跡を見つけていました。
下手をすればサンプルが失われる可能性もあるため、高い集中力を要求される操作です。
そんな作業を平然とこなす姿を見て、その胆力はすごいなといつも思っていました。
また研究者O氏は、「映画ドラえもんの中で、初期地球に起こったと言われる(地球上の酸素濃度が急上昇する)大酸化イベントを思わせる描写があるんだけど、見た?」と聞いてきました。
地球の歴史を研究している人たちは、映画やアニメの描写にもつい反応してしまうようです。
あいにくドラえもんはノーチェックでしたが、概要を聞くと面白そうだったので「へぇ~、面白いですね」と相づちを打ったところ、
横で聞いていたY氏に「面白いですよね! ねえ、興味出ました? 初期地球!」と、ものすごい勢いで詰め寄られたのはよい思い出です。
今となっては、どの映画の話だったか思い出せないのが無念です。
