特許情報を扱う際の基本的な3つの視点とネットワーク情報資源
特許権とは
産業上利用できる高度な発明について、発明者または権利者に一定期間与えられる独占的な権利である。知的財産権の一種であり、日本では特許法に基づいて保護される。特許情報とは
特許出願や特許権に関して公開される情報の総称である。発明の内容だけでなく、出願人、発明者、出願日、権利の状況なども確認できるため、技術調査や権利調査に利用される。
特許情報の特徴
- 発明や技術に関する一次情報である
- 技術情報と権利情報の両方を含む
- 調査目的によって検索方法や確認すべき情報が異なる
特許情報を扱う際の基本的な3つの視点
特許情報は技術動向や研究開発の調査に有用な一次情報である一方、技術情報と権利情報の両方を含み、調査目的によって検索方法も異なる。そのため、特許情報を扱う際には次のような視点を意識することが重要である。
| 3つの視点 | 内容 |
|---|---|
| ①情報の信頼性を判断する視点 | プレスリリースではなく特許公報などの一次情報を参照し、内容を確認する |
| ②検索の網羅性・妥当性を確保する視点 | 調査対象の技術分野に応じて適切な検索語や分類を選択する。調査目的によって求められる網羅性や検索方法が異なることに留意する |
| ③利用条件・法的・倫理的配慮に関する視点 | 特許の有効性や侵害判断に関する法的助言にならないよう、権利状態や公開情報の提供を中心とする |
特許情報のネットワーク情報資源
これらの視点を踏まえながら特許情報を調査する際には、調査対象や目的に応じて適切な情報資源を選択することが重要である。主なネットワーク情報資源として次のようなものがある。
| データベース | 説明 |
|---|---|
| J-PlatPat(工業所有権情報・研修館) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/ |
特許・実用新案、意匠、商標について、キーワードや特許番号で検索できる。画像意匠公報検索支援ツールを用いて、画像の登録案件や入力した画像に似ている画像の検索ができる。 |
| Global Brand Database(WIPO) https://www.wipo.int/en/web/global-brand-database |
商標検索のデータベース。ブランド名や画像を入力し、概念や形状、色彩等が類似した商標、ロゴを検索できる。 |
| 外国特許情報サービス FOPISER(特許庁) https://www.foreignsearch2.jpo.go.jp/menu.php |
ロシア、台湾、中国、オーストラリア、シンガポール、ベトナム、タイ、EUIPO、サウジアラビア、マレーシア、フィリピン、インドネシアの、特許・実用新案、意匠、商標を書誌や番号から検索できる。検索可能範囲は国ごとに異なり、中国は審決のみ検索可能。 |
| Google Patents(Google) https://patents.google.com/ |
世界中の特許文献を検索できる。特許文献中に含まれるキーワードや、化学式、測定可能な数量表現等から検索できる。類似化学構造や部分構造検索も可能。 |
| Espacenet(欧州特許庁) https://worldwide.espacenet.com/advancedSearch?locale=en_EP |
世界各国の特許文献を、タイトルやキーワード、番号、発明者名、出願期間などで検索できる。 |
| PATENTSCOPE(WIPO) https://patentscope2.wipo.int/search/en/search.jsf |
国際PCT出願の公開文献、参加国の特許文献、非特許文献をキーワード、IPC、化学物質名、番号で検索できる。 |
| Derwent Innovations Index(Clarivate、有料) https://clarivate.com/academia-government/ja/scientific-and-academic-research/research-discovery-and-referencing/web-of-science/derwent-innovations-index/ |
所属する大学や研究機関との契約がある場合に利用できる特許情報データベース。特許文献を独自分類・要約付きで検索できる有料データベース。引用検索や技術動向分析にも利用される。 |
参考資料
調査依頼を受けたときのこと
以前、ある技術について調査したときに、まず特許文献を確認しました。ですが、特許だけでは技術の背景や詳細を十分に理解できなかったため、発明者名から学術論文を探し、さらにその発明者が指導した学生の博士論文までたどったことがあります。調査の結果、その技術は全く新しい原理によるものではなく、既存技術を細部まで最適化することで実用化されたものであることが分かりました。
特許情報は有用な一次情報ですが、権利範囲を広くとるためにあえて曖昧な表現が多用され、読みにくく感じることがあります。これは、日本の特許も海外の特許も同じ傾向だと思います。
概要がつかみにくい場合には、学術論文を調べたり、研究機関のプレスリリースなど、より平易な資料を活用して基本知識や専門用語を理解してから特許文献に戻る方法も有効です。
ちなみに、調査の依頼元は当時勤めていた会社の社長で、動機は「どうしてこの技術がペイするのか知りたい」でした。「がんばって最適化したみたいですよ」と伝えたところ、「魔法の粉の発見じゃなかったか~」と残念がっていました。
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