自然をみつめるひと
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| 森からのてがみ N・スラトコフ 文/ 松谷さやか 訳/ あべ弘士 絵 福音館書店 |
作者のニコライ・スラトコフは、モスクワ生まれの動物文学作家です。ロシアの代表的な動物文学作家ビアンキの指導で、自然をつぶさに観察した動物文学作品を発表してきました。
事実と物語のあいだ
「キツツキは森の大工さん」では、キツツキが自分が木にあけた穴に誰が住んでいるのか、確認してまわります。このお話の内容が、私が大学時代にモモンガの調査手伝いをしていたときの知見とまったく同じで!本当に、自然を、動物を、観察してものがたりが作られているんだ、と感動し、そのまま3冊一気に読みました。
クマがねがえりうったら春が来る!?キツネとノウサギが同じ丸太に乗っている!?
そんなわけないだろう、と思いつつも、いや自然のなかではそういうこともあるのかもしれない、きっとこれも事実に近いんだろうな、と思いながら楽しく読みました。
松谷さやかさんの翻訳も、あべ弘士さんの絵も、動物たちが本当にこんな会話をしているような気持ちにさせてくれます。
大学時代に手伝ったモモンガ調査
この本を読んで思い出したのが、大学時代に手伝ったモモンガの調査です。化学系の技術屋のくせに、モモンガの調査ってなぜ?と思う方がいらっしゃるかもしれません。
野生動物の調査に限らず、フィールド調査は安全確保の意味も含めて、複数人で行うのが鉄則です。
たいていは持ちつ持たれつでお互いの研究を学生同士でサポートし合いますが、私は森を歩くのが好きだけど、ワンダーフォーゲル部に入るほどでもない、という感じの森好きだったため、フィールド調査の人手が足りないときは声をかけてね、と農学系の友人に頼んでいました。
ちなみにモモンガは、森の健全性や生態系の豊かさのバロメーター(環境指標生物)として知られています。
友人はモモンガが住む木を3年間、夏と冬と調査して、経年変化を追っていました。
また、毎木調査という、森のなかのどこにどんなサイズのどんな種類の木があるかを調べる調査もしていました。
やる気も技能も普通の大学生だった当時の私は、「生半可な気持ちでこの研究テーマは選べないなあ」と、友人をまぶしく見ていました。
参考資料
- ニコライ・スラトコフについては、本の奥付より
- EICネット環境用語集:指標生物
